2023年06月25日

1.2G 13エレビームの評価!

IMG_3169.JPG 右は430 8エレ

昨日(6/24)、AKCの懇親会があり秋葉原に集まったのですが、その時に、いつもアンテナでお世話になっている JK1LSE OMがお土産を持ってきてくれました。
1.2GHz用 13エレ ヤギウダアンテナの試作品です。
何とかマッチングできたので、評価してほしいと!
1.2G用は、アンテナを一緒にやり始めた頃からの課題で、なかなか上手くいかずほってありました。
先日、Tマッチでうまく行きそうなので、その部分を基板化したいので発注してくれないかと依頼があり、ポンチ絵から基板を書いて、発注しできたものを送ってあったのですが、ついにうまく行ったようです。

IMG_3176.JPG
ラジエーターには真鍮棒を使用し基板にはんだ付けされている。

評価と言っても比較になる基準アンテナは保有していないので、どうしたものかと思いつつ、SWRの測定から始めました。

VSWR.jpg
若干のうねりはありますが、帯域内1.15以内です。
使用ケーブルがRG-58 10m SWR計はSX1000です。
ケーブルが細くて長いので、見た目のVSWRは良くなっているかと思います。

次にどのくらい飛ぶのか?ですが、レピーターをお借りして比較してみました。
(お邪魔しました:ありがとうございます)

レピーター.jpg
5か所のレピーターに対し、左が13エレ直接、真中がSWRを入れた状態、右はSG9500です。
(SG9500は1.2Gでカタログ上9.7dBiあることになっています)
今までつながらなかったところがつながったり、ぎりぎりだったところのSが上がっていて13エレの効果が出ているようです。
また、1.2GともなるとSWR計挿入のままではロスがあるようです。

ここまで評価すると、パターンと利得が気になります。
144と430は自作ローテーターを使った簡易自動パターン測定器を作っているので良かったのですが、使用しているデバイスの関係で、500MHzまでしか測れません。
そこで面倒ですが、受信信号をスペアナに入力して、手動で10度ずつ回転させて値を読んでパターン図作成しました。

IMG_3175.JPG
若干メインロープが歪ですが、430 8エレと比較すると、サイドロープがこじんまりしているようです。
メインロープも、430 8エレをスタックにした時のような半値角になっています。
LSE OMはビームになっているか心配だと言われていましたが、しっかりと八木宇田アンテナになっていると感じました。

次は、利得です。
レピーターへのアクセスではそれなりの効果が出ているので、適当なゲインはあるかと思われますが、いったいいくらくらいのゲインがあるのか?
残念ながら、144や430の時のようにメーカー製の比較になるものを持ち合わせていません。
そこで、ダイポール相当ということでGPを作ってみました。

IMG_3172.JPG
これがどの程度正確にダイポール相当なのか評価しえませんが目安にはなるかと!

13エレと取り換えて比較すると、パターン図に記載していますが、GPは、-12dBとなっています。
つまり、ダイポール比 12dBの利得のあるアンテナということになります。
一般的にメーカーさんのカタログで記載されている表記だと,14.15dBiということになります。

この値はどうなのか?
LSE OMの元々の設計結果を教えていただきました。(MMANA)

1.2G 13ele MMANA.png
利得:16.19dBi 半値角:約30度 でした。

約2dBの利得不足です。この値をどう見るかですが、10dBを超える利得が得られていますので十分なのか、まだ追い込む必要があるのか?です。
半値角は、実測30度強ですのでほぼほぼかと思います。

LSE OMのお話では、エレメント長もノギスで測りながら0.1mm単位で詰められたそうで、自作で作ったものとして十分な性能が得られているのではないでしょうか?!

実は手元に、7K1CRZさんからお分けいただいたアストラルプレーンアンテナと、JH4VAJさんが頒布されたツインデルタループアンテナ、それとそれを模して銅箔テープで作った銅箔テープバージョンツインデルタループアンテナがあります。
これらも、どのくらいの利得があるのか測ってみました。

IMG_3173.JPG

結論は、以下です。(GP比)
アストラルプレーン  0dB
ツインデルタ     3.5dB
ツインデルタ(銅箔) 2dB  

正しい値かどうかわかりませんが、目安にはなるかと思います。  

実際にJH4VAJさん頒布のデルタツインループは、ハンディにつないで使用して、標準ホイップとは明らかに違った利得を感じていましたが、納得です。

さて、1.2GHz 13エレヤギウダアンテナですが、製作の再現性がどうなのか? LSE OMに聞いてみないとわからないのですが、素子感度が高く調整がシビアだと言われていましたので、もう少し検討が必要なのかもしれません。
144、430含めてブーム長1mをコンセプトに小型軽量を目指していて、この13エレも約260gと軽くは作れているのですが.........



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2023年06月23日

スタックケーブル検討U

雨も降らないので、昨日、430MHzで利得的にスタック効果が出なかったので検討を継続しました。
スタックケーブルとして、最初に検討したのが5C2Vケーブルのもので、波長短縮率を67%と勝手に思い込み短く切ってしまったものと、昨日の検討で最初に計算値で切って、短くなったものの2種類が余っていました。
そこで、144/430の兼用ではなく、430専用ケーブルとして長さを検討し、性能評価をすることにしました。
まず、5C2Vケーブルで計算値で1/4λ*0.8*3 = 41.8cmとして SWRを測ったらVSWR値は帯域内で1.5〜2と全くよくありません。
次に、3C2Vケーブルで、計算値で1/4λ*0.67*5 = 58.4cmとして SWR値を測ったらVSWR値は1.25以内で昨日とよく合っています。
5Cと3Cで倍率が違うのは、波長短縮率が違い、スタックにした時の必要長を満たすためです。

430専用3C400.jpg
3C2VでのVSWR特性です。シングル、昨日の分と遜色ありません。

IMG_3161.jpg
この長さでのパターン特性です。
左がスペース1λ、真中0.5λ、右シングル
残念ながら、ケーブル長は片側40cmほど短くなっているのですが、シングルと比較して利得の上昇は見られませんでした。
この時のケーブルの共振点は以下の図になります。
3C2V 400.bmp
400MHzと低い値になっています。昨日の測定では、この値はあまり問題にならなかったのですが、5C2VでSWRが悪いのは、この共振点を合わせたらよくなるのではと、5C2Vも低い値になっていたので、ケーブルを段階的に切り詰めて使用する周波数に合わせてみました。

5C2V 435.bmp
435MHzになっています。
この状態で、測ったSWRが次の図になります。

430 5C 435.jpg
両バンドエッジが少し高いですが概ね良好です。
この状態でパターンを測ってみました。

IMG_3164.jpg
なんと1dBですが利得が得られています。

3C2Vの方も長さを切り詰めて共振点を合わせてみました。

3C2V 430.bmp
若干低いですが、430MHzとなっています。
この状態でのSWR特性です。

430 3C 430.jpg
若干高いですが、帯域内で概ね1.3以下です。
この状態でのパターン図が次になります。

IMG_3165.jpg
なんと2dBの利得差が得られています。
条件を変えるたびに、シングルの測定も再度行っておりますが、角度的な精度で周辺からの反射などで少しずつ変わったパターンになっています。傾向は同じかと!

IMG_3162.jpg
利得差のないパターン、利得差2dB、利得差1dBのパターンを比較してみました。
昨日の測定で、気になっていたのは、スタックにして半値角は狭くなっていたのですが、後ろ側のパターンがシングルと比較して膨らんでいるように感じました。
この膨らみが本来前方に利得差になって現れるべきではないかと。
この3つを比較すると、利得差2dBのものが一番後ろ側のパターンが小さくなっています。
5C2Vと3C2Vで同じように共振点を合わせているにも関わらず、利得差が1dBある要因は、現時点わかりませんが、共振点を使用する周波数に合わせることによって、スタックとしての性能が発揮できることになるということが測定されました。(2dBは1台きりですが)
当然だろうと言われそうですが、メーカー製でも2バンド兼用をうたうために、どちらつかずの共振点になっています。
この状態で、SWRは当局自作のものも含めて実用範囲です。
測定はしていませんが、利得差が出ればよいのですが。
そうすれば流石メーカー製ということになります。

昨日は3C2Vを使用したことによるケーブルロスか?というのも要因候補の一つでしたが、そうではなかったという結論となりました。
自作ですので、バンド毎の専用ケーブルの方がよさそうです。
昨日の時点で144は既に利得差2dBが測定されていますが、実は共振点は135MHz程度であり、こちらも切り詰めて144にした方が良いかと考えております。
今日はここまで!





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2023年06月22日

スタックケーブルの検討

Pocke ANT24(144MHz 4エレ)とPocke ANT078(430MHz 8エレ)をスタックにしたら性能アップできるかとスタックケーブルの検討をしていました。
途中、ツイッターで検討中とツイートしましたが、だいたい纏まったので備忘録として記録を残します。
同じアンテナをスタックにすると、理論上3dBの利得アップになることは知られています。
しかし、現実的にはスタックするスペースや、スタックのためのケーブルロス、コネクタの変換ロスがあり、この3dBの実現は難しいと思われます。
某アンテナメーカーさんのサイトでは、スタックスペースによる指向性とアップする利得が記載されており、スペースを広げればアップ利得は3dBに近づくが、前方サイドロープが出てくるシミュレーションになっています。
別のサイトでは、利得アップよりも、指向性の半値角が狭まることにより、周辺からの電波、ノイズが減って通信しやすくなると記載されていました。
50年ほど前に144のスタックアンテナを使ったことがあるのですが、性能がどうなのかという評価はしたことがありませんでした。
スタックケーブルも自分で作ったこともありませんでした。
このケーブルはアンテナメーカーから販売されていますが、とても高価です。
一方、ケーブルの作り方は、サイト検索で沢山見つけることができます。
当然のことながら、自分で作ってみることにしました。
今回は、75Ω 1/4λ*短縮率*奇数倍の長さのケーブルを作り、中央で合成して、任意長の50Ωケーブルでリグと接続するようにしました。
メーカー製は、144と430でどちらにも使えるようになっています。周波数的には3倍なのでどちらにも使える長さがあることが、上記計算式からわかります。
以下、結果を示しますが、最初はこれでよいのかわからず、結局メーカー製(ダイアやモンド製SS770R)を購入して比較しました。(本末転倒です)

使用材料(アンテナがBNCなのでコネクタはBNCを使用)
ケーブル:映像系で使用されているBNCコネクタ加工したケーブルを切って使用
合成部:ケース 3Dプリンタで製作 
    コネクタ BNC
    ケーブルとの接続を容易にするため基板を製作し使用

ケーブル長:片側106cm 最初104cmで製作したが、性能測定しながらチューニング

IMG_3158.JPG
BNCコネクタ部と合成部

IMG_3155.JPG   IMG_3159.JPG
合成部内部と製作した基板

144比較.jpg
144MHzでのVSWR特性です。
グレーの線はシングルでの特性です。
オレンジがPocke ANT24スタックの特性、ブルーがダイヤモンド製ケーブルを使用した時の特性です。
ほぼ同じ結果が得られています。

430比較.jpg
430MHzでのVSWR特性です。
グレーの線はシングルでの特性です。
オレンジがPocke ANT078スタックの特性、ブルーがダイヤモンド製ケーブルを使用した時の特性です。
なぜかダイヤモンド製は帯域内で特性が悪くなっているところがあります。原因はわかりません。
製作したケーブルは高い方で少しVSWRが上がっていますが、使用には問題ないレベルだと判断しています。

次に、バラつきの測定です。
ケーブルを4本製作し、バラつきを見てみました。
144バラツキ.jpg   430バラツキ.jpg
144、430共に4本のバラツキは殆どなく再現性はありそうです。

VSWRの測定は、スタックにしたアンテナにRG-58U 10mケーブルを使用してSWR計SX-400にて測定しました。

次に、指向性パターンです。
Pocke ANT24、078を製作し測定した時と比較し、ベランダのアンテナ配置を変えてしまい、送受信アンテナの間隔も近づいてしまい単純比較できませんが、シングルとスタックの比較は見れる結果となりました。

IMG_3154.jpg
144MHzの特性です。
左:シングル
真中:スタックスペース0.375λ
右:スタックスペース0.5λ
スタックブームの長さが1mしかなかったのでこの間隔での測定となった
パターン図は、0.5λを基準として正規化した

<結果>スタックの効果あり
・シングルに対して、0.5λ時、2dBの利得アップ
・半値角は、シングル 90度 0.5λ 55度

IMG_3153.jpg
左:シングル
真中:スタックスペース1λ
右:スタックスペース1.44λ

<結果>利得の効果は見れなかった
・半値角 シングル65度、1λ 35度、1.44λ 20度
・1.44λ時 前方サイドロープが顕著
・ケーブル、コネクタロスか、利得の差見られず

<結論>
ケーブルの製作を含めて、初めての纏まったスタック化の検討でしたが、サイトなどで一般的に言われている結果が得られました。
サイト情報にもありますが、エレメント数が少ないほうが、スタックスペースに対して利得の上昇効果が大きいようで、144MHzは、スタック間隔が0.5λと狭い割にしっかり利得の上昇を確認できました。
430に対して、周波数が低い分、ケーブルロス、コネクタロスが低かったのかもしれません。
430は、利得の上昇は見れませんでしたが、ロス分を考慮しても下がることはなく、半値角が理屈通り狭まったことにより、スタックの効果とされる周辺からの電波、ノイズの影響は下げられるかと思います。
使用したケーブルが3C2V相当のものであり、ダイヤモンド製は7C2Vが使用されており、この辺りのケーブル
ロスの差があるかもしれません。(今回ダイヤモンド製でのパターンは測定しなかった)
重量は、その分重く(合成部も金属製)約470gあり、今回製作したものは約96gで可搬性を考えると悩ましいところではあります。






posted by ja6irk at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | QRP-HomeBrew

2023年06月17日

Pocke Decokeyer Uの検討

IMG_3128.jpg

K3NGキーヤーにOZ1JHM OMのデコーダーを組み合わせた、Pocke DecoKeyerは思った以上に人気があり、頒布は出せば即売り切れの状態でしたが、昨年後半以降、マイコンの調達先である秋月さんで、使用しているマイコンが入荷せず、準備できない状態が続いていました。
Aliでは販売されてはいるのですが、足元を見ているのかかなり高い値段になっている上に、送料までかかります。調達も考えましたが、高価なのに偽物だと大きな損害になるのでできないままに。
一方で、もう頒布はないのか?と問い合せがちらほら来るようになっていました。
このままだとずっとできない状態なので、若干高いけれど信頼できるところからのマイコン調達をして、価格はできるだけ上げないで頒布継続できないか、検討してみました。
マイコンを変えることは一からの開発となるので、そこまでの気力もないし、基本機能はそのままに、仕様を見直してみることにしました。
初代DecoKeyerは、キー出力を2出力としたことで、2台のリグが同時接続となり、またマイクをつけたとは言えCW解読(デコード)のためのオーディオ信号の接続もあることから、キー出力にはフォトカプラを、オーディオ信号にはトランスを入れて、アーズを分離していました。
コストを下げるためには部品を減らすことが一番近道であり、まず、キー出力は1系統として、アース分離をやめることにしました。
これにより、基板も小さくすることができます。
また、使用している表示器(LCD:秋月調達)も40%程値上がりしています。
基板が小さくなるということは表示器も小さくしないと、小型化にはつながりません。
たまたまですが、今年初めに128x32ドットの小型OLEDを使用してフリスクサイズで表示付きのK3NGキーヤーを試作していたので、このOLED(消費電流が若干大きいのがネックなのですが)を使用することにしました。
この表示付きは試作品を作った時、デコード機能はないのか?という質問もちらほらありました。
こうした流れから、OLED表示付きK3NGキーヤー基板をベースにデコーダー機能の追加を検討してみました。

結論:フリスクフットプリントサイズ、
   充電式Lipo電池内蔵のデコーダーキーヤーが実現


【機能・仕様比較】
         初代 今回
@ キーヤー K3NG 〇  〇
A CW解読 OZ1JHM 〇  〇
B アース分離   〇  ×
C キー出力    2   1
D 表示      LCD  OLED
E 内蔵マイク   〇  〇 
F 内蔵電池   単4 2本 250mAhLipo
G サイズ    名刺  フリスク面積

IMG_3125.jpg   IMG_3131.JPG
上が従来機 下が今回機

IMG_3124.JPG
歴代キーヤー(フリスクフットプリントサイズ) 
一番上: 表示付き単4電池版 2番目:今回のデコーダーキーヤー
3番目:ロングランのKeyerU 4番目:Keyer mini

IMG_3130.JPG
厚み比較(表示付き単4版、今回デコーダーキーヤー、KeyerU)

IMG_3136.JPG   IMG_3132.JPG
生基板と部品実装後

IMG_3133.JPG  IMG_3134.JPG
基板をドッキングした様子

IMG_3135.JPG
基板をそれぞれケーシングした様子

【試作結果】
アース分離がなく、キー出力が1系統のみという点を除いては、機能的には初代と同じものを作ることができました。
大きさ的にはロングランの Pocke Keyer Uと同じフットプリントサイズで、表示とデコーダー機能、充電機能付きLipo電池搭載と 多機能で小型化ができました。
小型化ゆえに、電池のサイズが250mAhで電池寿命が心配でしたが、一応連続使用で約10時間といったところでした。充電機能付きですので何とか実用には耐える時間かと思います。
充電時間は、安全のために充電電流を1C以下としたので、空から満充電まで約4時間半かかりました。
副産物として、絶縁トランスがなくなった分マイクからのゲインが上がり、マイク入力でのデコードが比較的小さい音でも出来るようになりました
ケーシングも、基板が上下ドッキングのため構造的に悩みましたが、ケースそのものも二段構造にすることでうまくドッキングできる構造となりました。
トップカバーなどはこれからの手配になりますが、何とか使えるものに仕上がったと思ってます。





posted by ja6irk at 19:43| Comment(0) | TrackBack(0) | QRP-HomeBrew