2016年01月11日

GPSDO

今月号のトランジスタ技術でGPS電子工作という特集記事が掲載されています。
当局が、高精度病に罹って色々と大変お世話になっている加藤OM製作のGPSDOもかなりのページを割いて掲載されています。
製作記事のみならず、設計の考え方、部品の調達、参考価格、製作結果の性能の測定結果まで至れり尽くせりの記事ではなかったかと思っております。

当局も、1昨年の夏より色々苦悩の日々を過し、その年の年末にはその経過を振り返った年末の挨拶をさせていただきました。

http://blog.toshnet.com/article/109203991.html

昨年はMDAなる新しい評価装置も入手させていただき、XTALやTCXO、OCXO、ルビジウムなどの周波数安定度の比較を年末に纏めて掲載させていただきました。

http://blog.toshnet.com/article/170983229.html

GPSDOについては、まだあまり整理できていなかったので掲載しなかったのですが、トラ技に特集が組まれたこともあり、当局なりに製作したり、購入したボード等の状況を掲載したいと思います。

一昨年製作したGPSDOは上記URLの通りですが、これは信号源としてルビジウム発振器を使用したものです。
現時点の当局の基準信号源となっています。
これを自分で測定した状況が以下の写真です。

(1)GPSDO ルビジウム信号源(LPRO-101)

GPSDO LPRO-101 表.jpg
秋葉原で購入した中古計測器アダプタのケースを利用して作ったものです。
製作以来、殆ど電源OFFすることなく24時間で動いています。

GPSDO LPRO-101.jpg
自分の信号を周波数カウンタの基準信号として自分自身の周波数を測っています。


自分自身を基準にしていますが、ふらついています。とは言っても、この動画では僅か200μHzです。
測定誤差、基準信号であるルビジウムもふらついていますからこんなものでしょう。

GPSDO LPRO-101 MDA.jpg
MDAでの評価です。自分自身を測っていますが、周波数センターはぴったり合っていません。
と言っても、僅か21.9μHzの差です。
標準偏差も778μHzととても優秀だと思います。

(2)GPSDO Morion OCXO カウンタ方式

これは、OCXOの周波数誤差を周波数カウンタと同じようにカウントして、その後差分を少しずつOCXOを補正制御して周波数を合わせこむ方式です。
周波数カウントはマイコンでも良いのですが、どうも信用ならなくて同期式のカウンタでカウントするH/W方式としました。
と言っても、すべてをカウントするのではなく、最後の8bit分(約±70mHz)だけをカウントしてマイコンに取り込み誤差補正しました。
0.001Hzをカウントするのに1000秒かかり、周期はその倍になっています。
これができるのは、OCXOがダブルオーブンでこれくらいの時間は非常に安定していることで実現できるものです。
制御端子からの周波数可変範囲はもっと広いのですが、そんなに広く制御する必要はないし、制御電圧を作るマイコンのPWM出力が10bitと粗い為、可変範囲を狭くするように回路を組んで対応しました。

GPSDOカウンタ方式表.jpg
まだS/Wは未完ですが、GPSの時刻情報も取り込んで正確な時計としても使えるように表示しています。

GPSDOカウンタ方式裏.jpg

GPSDOカウンタ方式内部.jpg
高精度を実現するのにノイズ源となるスイッチング電源まで組み込んでどうかと思いましたが、電源とアンテナの接続だけで使えるので便利です。今のところノイズ影響はないのかな?と思っています。

GPSDOカウンタ方式.jpg


ルビジウムより動いていますが、これまでの評価では一番安定していると思っています。
周波数が飛び跳ねる現象も見られません。

GPSDOカウンタ方式 MDA.jpg
周波数センターも良く合っていますし、標準偏差も933μHzとルビジウム相当の結果が得られています。

GPSDOカウンタ方式オシロ.jpg
4分配器を入れていますが50Ω終端で約1.2Vの正弦波出力です。

(3)GPSDO Symmetricomボード

このボードは一昨年あたりから中古が出回り始めているようで、これらを使ったサイトはあまり見かけませんでした。
携帯基地局の基準信号源として有名なHPのZ3801などがありますが、これらのボードはそれらの第2世代機ではないかと推測しております。非常に小型になっていますし消費電力も下がっています。
メーカーサイトでは最新式は更に小型になっているのが見られます。
価格も安くはありませんがそれほど高いわけではなかったので、人柱と思いながら購入してみました。
6V動作となっており、アンテナをつなげば10MHzと1PPS信号が出てきます。
何せ情報が少なくて苦労しましたが、何とか動かせました。

Symmetricom 表.jpg
動作状態を示すLEDをつけようと穴を空けてます。基板から線を引き出す必要があります。

Symmetricom 裏.jpg
これは、手持ちの薄型ケースに入れましたので電源は外付けのACアダプタを使用しています。
RS-232Cの出力を持っており、内部の情報をターミナルソフトで読み出すこともできます。

Symmtericom 内部.jpg

Symmetricom.jpg


30秒の動画では約2mHz強の動きしかありませんが、長時間見ていると±5mHz程度は動いているのが観測できます。
サイト情報によればCDMAの基地局の周波数精度は、5×10~8だそうなので、これで十分だと言うことになります。(正しい情報かは?です)

Symmetricom MDA.jpg
標準偏差は1.8mHzなのでそれほど悪くありませんが、中心が鋭くとがっていますので、中心周波数にいる時間が短いと言うことになります。

自分で作ったものより、中古とは言え業務用で使用されているものの方が信頼できるだろうと思ったのですが、これより性能の良いものを見てしまうと若干物足らなくなってしまいます。
普通はこれで十分な基準信号源となりえますからね!中古OCXO 2個分で10~9台の信号源が手に入ります。
これで不満足なのが高精度病たる所以なのでしょう(笑)
このボードには、昨年末に結果としてたどり着いただけで、最初に知っていればこれで終わったのかもしれませんが。


これ以外にも、位相差方式や、PICで作られた海外のカウンタ方式なども検討中なのですが、まだまだ中途半端でご紹介には至りません。
加藤OMも記事で参考にされていたG3RUH局のPLL方式も作ったことがありましたが、安定度は2桁ほど悪かったと記憶しています(当局の作り方が悪かったのでしょう)。
今回、加藤OMは±0.001ppmを実現されていますので、当局もやってみたいと思います。

基準信号は一つあればいいのではないかと思われるかもしれませんが、やり始めるとなかなか奥が深くのめり込んでしまっています。
これ以上の精度を得ようとするとセシウム信号源等と言うことになるかと思いますが、非常に高価で手が出ません。よって、これ以上の性能を測る手段がありませんので、高精度病もこれくらいで完治になろうかと感じ始めてはいます。
アラン分散やら位相ノイズやらも測ってみたいとは思うのですが.......




posted by ja6irk at 16:09| Comment(4) | TrackBack(0) | QRP-HomeBrew
この記事へのコメント
こんばんは。
なるほど、「高精度病」というものの片鱗が少し見えたような気がします。(笑)
色々な物を作られたんですね。関心しました。

色々作って比較することで、どの当たりが真値なのか当たりがついてくるのでしょう。わかるような気がします。
カウンターの下2桁、3桁がパラパラ変わると、これは落ち着かなくなりますよね。MDAはスグレモノのですね。カウンターより視覚的に見えてしまうんですね。

先達を見習って、ゆっくりとやってみます。まずはGPS直出しの10MHz当たりでしょうか。PLLのものも興味があります。良い参考書があるので、まずはデットコピーではじめます。

Posted by JK1LSE/本田 at 2016年01月11日 20:26
本田さん、こんばんは。
そうなんです。
見えてしまうと詰めたくなります。12桁だと最終桁以外は動いて欲しくなくなるんですよ!
誘い込んでしまっているような気もしますが、遠回りしないように見張ってますよ(笑)
OCXOは最低2,3日、1週間はほっておかないと安定しませんから時間がかかります。
入手されたMORIONのMV89は高性能ですから、すぐにたどり着けると思います。
頑張ってください。
MDAには14桁のカウンタ機能があります(正しいかどうかは、基準信号にもよりますし怪しいですが)。
手に入れられないほうが良いかも。面白い計測器ですが、あと1年余計にかかります(爆)


Posted by jn3xby@岩永 at 2016年01月11日 20:48
おはようございます。
なんだか悪い病気を伝染してしまったようで申し訳なく思っています。 私の場合は、hpのGPS-DOの導入で終了していたのですが、高性能なNEO-6Mを見てどの程度行けるのか興味が湧いたのでした。(笑) 既にGPS-DOとRb-OSCと言う基準があったので楽でしたが、何もナシから始めるとたいへんですよね。
岩永さんのレポートで、Rb-OSCに制御を掛けるGPS-DOがベストな印象を受けますが、やはり安定しているものをわずかに補正すると言う考え方に一番近いからでしょうね。OCXOを使う場合も、極力安定した物を使わないと思った性能が出ないわけで、そのあたりが難しい部分の様に思います。既に使用して実績のあるOCXOが一番と言うことになりそうです。
そろそろ病気も治癒しそうですが、長い間お疲れさまでした。
Posted by JA9TT/1 加藤 at 2016年01月13日 08:08
TTT 加藤さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

いえいえ、今まで良くわかっていなかったこと、知らなかったことも含め、色々勉強させてもらいながら楽しまさせていただきました。

結果としては、今まで想像もしなかった高精度の信号源を得ることができました。
大変良かったと思います。

まだ遣り残しているものもあるのでもう少しかかりそうですが、勘所はわかったのであとは安定するのを待つ時間がかかるだけです(笑)

OCXOはダブルオーブンの可変端子のあるものが必須ですが、どのオーダーの精度まで得られるかは、コメントいただいたように実績のあるものが確実ですね!

ebayではトラ技で書かれたCEPEのOCXOは現時点見当たらないようなので、入手性からはほかをあたるしかないのですが、当局が偶然入手して使用したMorionのMV89はオーディオマニアの間での人気商品らしく高騰していますので、それ以外で何を選ぶか悩ましいですね!

SCカットで選ぶと言う手もあるかもしれませんが。

色々ご指南ありがとうございました。

Posted by jn3xby@岩永 at 2016年01月13日 22:09
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